安心価格のいい葬儀

安心価格のいい葬儀 葬儀の初めから終わりまでご紹介します

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お墓・墓地・霊園 墓地についての意識

 墓も「自分らしく」

これまでの墓石は、和型・洋型の別があるにせよ、ほとんど同じような形のものでした。ところが最近、個性的な墓が一部ですが登場しつつあります。

ギターが好きだった父親のために、遺族が建てた墓は、ギターの形をしており、線香立てはギターのピック、土台には五線が刻まれています。また、スキーを愛した故人のために、山の斜面に2本のシュプールを描いた墓石が建てられ、山小屋を形どった線香立てが添えられています。さらに、将棋の好きな人が、将棋盤の形をした墓を作るなど、墓石にも「その人らしさ」を演出する人がでてきました。

このような個性的な墓が でてきた背景には、人びとの意識の変化に加え、墓園や墓石業者の変化もあります。「自由墓地」と称するエリアをもった霊園が出来たり、墓石業者が、人々の希望にそった墓を作るため、デザイン部門を開設したり、コンサルタント業務を開始したりするところもでてきました。

施主と施工者が一緒に話し合いながら形を決めていくシステムは、住宅でいうところの「建て売り住宅」ならぬ「注文建築」ということになるでしょうか。個性的な墓は、全体としてはまだ少数ですが、増える傾向にあります。また、「家墓」ではなく、家族や血縁を越えて不特定多数の人の墓を一基に集めた「集合墓」、多くの人の遺骨を合わせて葬る「合葬墓」なども増えて、変化は墓石ばかりではなく、一緒に入る人の範囲やシステムにまで及んでいます。

このように、墓も葬儀とと同様に、社会の多様化への対応とともに個人を尊重した「その人らしく」という志向がではじめてきました。

 「生き方の多様化」が墓を変える

今の日本の墓は「○○家之墓」という家名が彫られた「家墓」が一般的です。

そしてそれは代々承継者を決め、その人が管理料を払って永続的に使用していく「承継システムを」をとっています。家族が変化し不連続化しているにもかかわらず、依然として墓は連続性を求められてきたのです。

そのためシングル、子供のいない夫婦、離婚者、女子だけの家は、墓の承継者がいないということで、無縁化が心配されたり、墓を入手させてもらえないといった状況も起きました。新しい生き方が市民権を得て、人々の生き方が多様化したにもかかわらず、つい最近まで墓は、ほとんどが承継者を必要とした「家墓」だけだったのです。

特に1980年以降にこういった傾向がより一層深刻化してきました。80年代に入ると、従来の枠組みに入らない家族の形態がしだいに増えはじめ、家族の”ゆらぎ”の時代ともいわれるようになりました。それを具体的にあげると、核家族がさらに核分裂を起こしてシングルが増加したり、離婚率の上昇、晩婚化、子どもをもたない夫婦の増加、少子化などがあげられます。これらの変化を墓からみれば、「承継者のいない人」の増加を意味しています。

80年代の半ばになると、このような人たちの受け皿として新形式の墓ができました。
85年にできた滋賀県・比叡山延暦寺の「久遠墓」を先駆として、89年には東京都に「もやいの碑」。新潟県・妙光寺に「安穏廟」、京都府・常寂光寺に「志縁廟」が落成し、以後「承継者を必要としない」墓(永代供養墓)が近年その数をふやしています。

この承継者を必要としない墓では、合同の慰霊祭や、懇親会などが催され、墓を核として縁あって集まった人々が、生前から交流することによって、家族を超えた新たな関係をつくりあげているところもあります。

承継者を必要としない墓は、その多くは、一つの墓、一つの納骨堂のなかに、みんなで入るような形(遺骨は混ざらない形が多い)になっているところから、「集合墓」「合葬墓」「総墓」などという言い方がされます。しかし、承継者を必要としない墓のなかにも「個人墓」「夫婦墓」といったようにみんなが別々の墓石を建てる形式のものもあってさまざまです。

したがって「承継者を必要としないお墓」を総称する場合は、一般的には承継者がなくても運営者側が管理し祭祀するという”祭祀の形態”から「永代供養墓」「合祀墓」という言葉が一般的に使われています。ただし、公営の墓に関しては行政が特定の宗教や祭祀に関係してはいけないことか「供養」「祭祀」などという言葉を避け、「合葬式墓地」「合葬式納骨堂」の言葉を使用しています。

 夫婦で「入りたい」「入る必要がない」

東京都が実施した「都市型墓地に関する意識調査」(95年)で、「誰と一緒に埋葬されたいか」について回答(複数)を求めたところ、「配偶者」が45%で最も多く、ついで「家族」44%、差があって「子供」25%、「先祖代々」21%、「親」20%とつづきました。その他の調査をみても「夫婦」で入りたいという希望がいちばん高い数値になっています。

核家族を反映して「親」とか「先祖」と一緒というよりは、世帯単位で埋葬されることを望んでいる人が多いことがわかります。また、子どもを束縛しない、あてにしないでと考える人も多くなっていることがわかります。

ところが、別の「都民要望に関する世論調査」では、「夫婦が同じ墓に入る必要はない」という項目に対して「そうは思はない」という人は61%ですが、「そう思う」と考えている人も34%いることがわかりました。このような「死後の自由」を求める気持ちは男性よりも女性に多く、既婚者で「夫婦が同じ墓に入る必要はない」と答えた女性は35%で男性を4ポイント上回っていました。そう答えた女性を年代別にみると20代が最も高く49%、ついで40代が44%でした。

知人や友人など親しい同士で一緒に墓に入ることがあってもよい、と答えたのは、女性が47%、男性はそれよりずっと低く39%、なかでも40代の女性で肯定する人が51%と半数を越え、同年代の男性より10ポイントも高かったのが目立っています。どうやら男女で意識の差が見受けられるようです。そのへんをもう少しみていきましょう。

 女性の墓、男性の墓

「誰と一緒に埋葬されたいか」という前出の「都市型墓地に関する意識調査」で、性別による違いが顕著になりました。女性は「配偶者」との埋葬を希望する人が最も多いのに対して、男性は「家族」との埋葬を望む人が最も多くいました。さらに、女性と比較すると、「先祖代々」のお墓に埋葬されることを望む男性が多いこともわかりました。

この男女の意識の差は「現代人の墓に対する意識」(ライフデザイン研究所94年)でも顕著に浮かび上がりました。男性は「自分の実家の墓に入りたい」が48%でトップであるのに対して、女性で「夫の実家の墓に入りたい」という人は23%しかいません。女性たちの支持が最も多かったのは、「夫婦で購入する」でした。一方で、「自分の実家の墓」を希望する女性は14%にのぼりました。

都民調査でも「自分の先祖の墓に入る」は男性の60代以上が5割程度、30代から50代が4割台、20代でも3割台を占めています。一方、女性で「配偶者の先祖の墓」を希望する人は、同年代の男性よりおおよそ1割低いことがわかりました。高齢の女性ほど、「配偶者の先祖の墓」「夫の墓」を希望する人が多いものの、それと裏腹に「実家の墓」を希望する人も、他の年齢より多いという結果がでました。

このように女性の意識のなかには「夫側の家の墓」に入ることを拒んだり、「実家の墓」に入ることを望む声もあがっています。承継者を必要しないある「合祀墓」の購入者のなかには、実際に「妻が夫とは別に」墓を求めたケースが7 %あるということです。

 家を越える墓碑銘

最近、墓石に家名を彫らない墓が増えています。「やれやれゆっくり休まれるわいな」という言葉を墓石に彫った人がいます。承継者がいないため、家の墓を代々伝える必要がない人です。自分の本音で自分らしい言葉を刻んだというわけです。

一方、子どもいても娘だけというある人は、「和」という文字を刻んだ墓を建てました。娘が結婚して姓が変わっても実家の墓を継ぎやすいように、家名を彫らなかったといいます。

「娘に重荷を負わせてはかわいそうだから、墓は継がなくてもいい」と思いながら、どこかで期待をつなげているということのようです。

墓碑銘がユニークなのは、承継者のいない人ばかりではありません。夫の姓のまま離婚したある女性が建てた墓石には、短歌が墓石に彫られています。家名を彫れば、別れた夫の家の墓のようになるし、だからといって旧姓を彫れば実家の墓になってしまいます。そこで自分が好きな短歌にしたのだそうです。そのほか「愛」「憩」「無」「寂」「偲」といった一文字から「われらここに永眠す」といった言葉までいろいろみられます。家意識の衰退や家名承継の難しさがあって、「無家名」の墓石がでてきているようです。

都民要望に関する世論調査で、「墓石刻み文字などは『○○家』以外にも自由なものでよい」という問いに対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」は65%「そうは思はない」「どちらかといえばそう思はない」の31%をはるかに上回っていました。

また、「夫婦別姓」の選択制が法制化したら、墓はどうなるのだろうか、という疑問を耳にします。墓石に夫婦それぞれの家名を彫った「両家墓」が増えるだろう、と想像している人もいます。

しかし、夫婦別姓の本来の意味は、家を超えた男女の良い関係をつくることにありますから、家の墓というよりもそれぞれに素敵な工夫がなされていくでしょう。

 少子化社会の「両家墓」

墓は子どもいても女子の場合なかなか継ぎにくいものがあります。それは、女性が結婚すると夫側の家の人間になった、戦前の家制度時代の意識が今なお色濃く残り、結婚改姓した妻は、実家の墓を継ぐのが困難であるといった事態を引き起こしているからです。

新潟県の承継者を必要としない「安穏廟」の購入者(1996年1月)をみるとその購入理由に、子どもが「女子だけ」という人が20%あり、「子どものいない夫婦」の24%に次いで多いことがわかります(東京都女性財団助成研究「変わる家族と女性の墓」)。

これも、女性が墓の承継者として認められにくい状況を物語っています。かって子どもの数が多かった時代には、家名を継ぐ男の子が産まれる確率も高かったし、女の子しか生まれなくても「婿養子」をもらって家名や墓を継がせていました。現在は、少子化で産む子どもの数が少なくなったうえに、養子をもらってまでも継がせようという意識が希薄化しました。また、長男長女同士の結婚も一般的になり、すでに表札に二つの家名をかかげている家も見かけます。このなかには結婚して姓が変わった娘が、親と同居しているケースも多く、そこには、夫側の姓を名乗りながら、妻の親と同居するといった夫婦双系的な家族意識が見受けられます。

墓にもまた双系化の傾向が見受けられます。それが、夫側、妻側の両家を祀る「両家墓」です。少子化がすすむと、墓や仏壇を抱えた者同士の結婚も多くなり、一家に仏壇や墓が2つ3つということもでてきます。墓石に2つの家名を並んで刻まれるものも多く見受けられるようになりました。

女子だけの家の場合、この両家墓をつくるか、あるいは墓石には「寂」などの文字を刻み家名を刻まないか、承継者を必要としない「合祀墓」を求めるかという3つのケースが多いようです。「家の墓」にも限界がきています。このことが、今後の大きな問題でもあるでしょう。「承継者を必要としない墓」も増やすことを含め、解決策が必要です。

 承継者を越えるお墓

すでに家族が「不連続」であるがゆえに期限を切って使用する「有期限制」が千葉県浦安市の市営霊園でスタートを切りました。

墓の形は従来と全く変わらず、30年ごとに承継者の有無が確認される方法で、承継者が誰もいなくなれば、遺骨は霊園の「合祀墓」に納骨され、空いた墓所は再利用されます。今後の霊園には、この有期限制が導入されるところも多くなっていくことでしょう。

また「承継者を必要としない墓」も、年々増加しています。それらの多くは合祀墓・集合墓といった省スペースの形をとり、固有スペースに関しては有期限制(時が経れば一カ所に合葬される)をとっているところもあります。

さらに墓に入る人も、夫婦、自分一人、仲間、自分と両親といったように自由に選べて、血縁や家族にこだわらずに入ることが可能なところもあります。このような承継を必要としない合葬式の墓は多様化した生き方が市民権を得た時代にふさわしい墓として考えられています。承継者を必要としない墓は、寺や民営霊園だけでなく、神奈川県横浜市の市営の霊園(日野公園墓地内)にもでき、他の自治体にも注目されています。

東京都でも今後、承継者を必要としない合葬式墓地をつくる方向で検討しています。都の世論調査(96年)で、墓の「承継者の心配はない」と答えた人は60%でした。残る約40%のうち「子どもはいるがあてにできない」という人が0%、身寄りがない人が8%、その他・わからないが23%でした。

「合葬式墓地」については、「必要がある」「やむを得ない」を合わせて「肯定派」は約半数もいました。特に年代が下がるにつれて多くなり30代の女性では60%を超えています。これからますます家族の変化や多様化した生き方にあった墓が増えていきそうです。

 

 

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