~弊社が他の葬儀会社と違うところは何か~
「仏壇のチラシのことなんですが、お店にかけたらもう閉まっているようでしたので、事務所にかけたのですが、ちょっといいですか?」
夜八時過ぎ一本の電話がかかってきました。「はい、けっこうですよ。どのようなことでしょうか?」と私は答えました。
「うちは、工場をしているので時間が合わなくて、チラシの期間中にお店に行けないのですが、夜何時ごろまで開いていますか?」
「お店は、六時までですが、日時をおしゃっていただければ、店をあけてお持ちしています。」
「それは助かります。じつは、数年前におたくで葬儀の御世話になって…。その時の葬儀が花祭壇でね、いまだに近所では見かけないのでね、ちょっと自慢なんですよ。」
「もしかして、木村(仮名)さんですか?」
「まあ、覚えていてくれたのですか?」
「ええ、あの時は飾りに時間をかけましたので印象深く、よく覚えています。」
木村さんのお母様がお亡くなりになり、病院から、自宅へ搬送だけの依頼でした。木村さんの自宅に到着してみると、一階が作業場で三階が住まいになっていて、苦労の末、なんとか三階に安置しました。
「三階から降ろす時は大変ですよ。葬儀はどこでされるおつもりですか?」と、私は聞きました。
「できれば、自宅の一階の作業場でやりたいのです。」と木村さんは答えたました。
「そうなんですね。葬儀社は決まっていますか?」
「近所の業者にでも頼もうと思っているんですけど、ちょっと見てもらえますでしょうか?」
案内されて、一階の作業場を見たら、鉄骨むき出しの壁、二階までの天井、コンクリートの地面、そして、エアダクトが作業場の中央から突きだしていて、どれもこれも式場には不向きな条件ばかりでした。これでは、祭壇が飾れません。
「どこの業者でも白木祭壇は飾れないでしょう。式場として設営する以上、どこに設置していいというものではないですから…」と、私は言いました。
「そうですか……。」木村さんは、あきらめきれない様子でした。
「どうしても、ここからお送りしたいのですか?」と、木村さんに尋ねました。
「何とかなりませんでしょうか……。」やはり、あきらめきれない様子でした。
「お花で祭壇を作りましょうか?それなら何とかなりますよ。」と、私は提案しました。
すぐさま、会葬者入出経路を確認、祭壇の位置を決めました。ただ祭壇設置場所の壁が平面ではなく、左側半分の奥行きが足りなかったりしたけれども頭のなかで、うまく空間を演出するためのイメージを描き、限られたスペースの中での「参列席」や「焼香位置」「供花の設置場所」も決めました。
また、むきだしの天井や壁を見せないように横断の高さ、天井幕の位置取りをし、コンクリートの地面にはじゅうたんを敷くということなどを打ち合わせしました。
次の日、おおむねイメージどおりに飾り付けが進み完成しました。出来上がった祭壇を見て、木村さんから「想像以上によくできている」とお褒め頂きました。
「・・・今でも、よいお葬式が出来たと思っています。それじゃ、また、仏壇の件はお願いします。」と、言う木村さんでした。のちに調べてみると八年前の葬儀施行でした。
葬儀直後には、儀礼上「ありがとう」という言葉は言ってもらえるかもしれませんが、思い返して「よいお葬式ができました」と言ってもらえることは本当にうれしいものです。
最近では、送り出す側の意識の変化にともない、ともすれば葬儀はしないという人もいます。ただ、形はどうあれ、やり直しのきかないことだけに、自分の思う葬儀をしてもらいたいと思っています。